普遍の事業目的である持続的な利益の確保を支えるマーケティング

さて、企業の目的は持続的な成長の中で達成される利益の恒常的創出であり、これによって企業はその社会的責任を果たすことが可能となります。利益を出すためには出来るだけ多くの売上の確保と、適正なコストと経費管理が必要になります。コスト・経費を厳しく管理することで利益を向上させる手段もありますが、より積極的な展開には売上の向上が必須事項でしょう。売上を上げるにはどうしたらよいのでしょうか?非常に簡単な公式ですが、売上の向上は(1)既存購買者数の維持と新規購買者の獲得、(2)購入者一人当たりの購入個数と購入頻度の増加、そしてB販売価格の値上げ、でしかありません。この公式を効率的に、そして計算された管理で実現させる手段が“顧客視点のマーケティング管理”だと考えます。

 アメリカマーケティング協会では1985年に「マーケティングとは、個人と、組織の目標を達成する手段を創造するため、製品/製品アイデア開発、価格、広告/プロモーション、そして流通を計画・実行するプロセスである」と定め、2004年には「マーケティングとは、組織と利害関係者にとっての利益となるように、顧客に対する価値を創造・伝達・提供し、顧客との関係を管理するために行われる組織的な活動とその一連の過程である。」と改定し、マーケティング活動における顧客との関係を強調しています。私は、『マーケティング活動とは、個人と組織が利益を適正かつ持続的に確保するために、お客様を知る事に始まり、お客様の満足を創造し続けるプロセス』と解釈しています。私にとってのマーケティング管理は、常に顧客視点が原点になり、その為にマーケティングリサーチが絶対的な位置づけになるのです。マーケティング活動の意味は顧客の満足度を高めるためにあり、顧客の視点で事業プロセスや組織を回すことと考えています。企業として市場や顧客の動向を捉えどの方向に向かうのかを考え、ターゲット層のニーズや欲求、そして市場に潜在する新たな機会を分析・理解し、事業の軸として経営・マーケティング戦略を立て実行していくのです。

 インターネットの目覚しい普及に始まり、ブロードバンド時代の到来とともに変貌し続ける生活者行動を事業経営に反映させるには、先ほども述べましたが、今までのように開発者や経営者の経験と勘に頼った意思決定では難しいでしょう。新しい時代に対応した新たな価値の創造や企業価値の拡大のために常に市場と顧客に目を向けた正しい判断が求められているのです。過去の成功事例をベースにした経営・マーケティング戦略では、複雑で多種雑多な生活環境に生きる生活者の欲求に応えた商品・サービスの創造は難しいでしょう。より豊かな価値を追求する、生活者自身が表現できない欲求への答えが求められているのです。この領域の責務を担っているのがマーケティングリサーチなのです。

 私は、大学卒業後32年間にわたり、米国を基盤とする多国籍企業のマーケティングと経営に従事してまいりました。そこでは多種多様な消費財カテゴリーと世界のトップブランドのマーケティング管理を経験して来ましたが、常にマーケティング上の判断と決断を助けてくれたのが20代後半から10数年にわたり経験したマーケティングリサーチのバックグラウンドでした。また、そこで学んだ多くのビジネス経験の中でも、欧米経営者のマーケティング活動に対する接し方、取り分け、マーケティングリサーチに対する関心の高さと自分自身で理解しようとする態度には学ぶべきものが多かったと思います。彼らは経営判断をする上で、経営ツールとして売上/顧客データ分析、そして経営分析手段としてのマーケティングリサーチを非常に重視していました。今回は、企業経営、とりわけ、マーケティング管理上で重要なポジションにあるマーケティングリサーチの意味と価値について話をさせていただきます。先ずはマーケティングリサーチの一般的な役割です。

 

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