売場でいかに商品を想起させることができるか、これがポイントである

 例えば、塩のように、似たような商品パッケージが複数並んでいることがよくあります。しかし多くのお客様には、商品をぱっとみた瞬間、そこはひとつの塊(塩)にしか見えないのです。でも実際の売場では、リーズナブルなものから、プレミアムな塩までいろいろな種類の塩が展開されています。ところがお客様にとっては、単なる「塩」としか認識されない。なぜなら、過去の経験から、プレミアムな塩があるという認識を持っていない人が多いからです。そうなると、多くのお客様にはプレミアムは、「特別なものとしてではなく、単なる高い物」で終わってしまうのです。

 そこで、塩の売り場にサブカテゴリーを作り、グルーピングして訴求してみます。すると、サブカテゴリーへの興味度合いが高くなり、また、流通側にとっても消費者が認識する商品カテゴリーが増えることになり、検討率が高まる結果が見られます。売場ではモザイク画をイメージすると良いのです。モザイク画は近くで見ると、複数の色の要素がそれぞれに主張してしまい、その情報から全体を理解することは難しいものです。しかし、遠くから見ると、一つひとつの形がわかる。つまり、売場もカテゴリー区分などをうまく活用することで、購買者に売場を直感的に理解させる(意識させる)ことができるのです。だからこそ、購買者に短期間で訴求していくためにも、サブカテゴリーなどをしっかり作り、訴求するものを明確化することが非常に重要なことといえます。

 また、購買者のニーズを売場で顕在化させていくことも重要です。逆に言うと、売り場しだいでは購買者のニーズが更に顕在化していくのです。

 4〜5年前の調査での経験ですが、液晶テレビの売り場は商品をインチサイズ別に並べることが一般的でした。インチサイズ別に並べること自体は良いと思われますが、「液晶テレビを売る」といった観点からは問題がありました。当時は、フルスペックハイビジョンの液晶テレビが出始めた頃で、各社数台をラインナップし、その価格もスタンダードの液晶テレビと比べ10万円くらいの差がありました。

 ここでのポイントは、多くの消費者は店頭で「フルハイビジョン」という意識を持っておらず、プラズマ、或いは、液晶テレビという概念でしかなかったのです。そうすると、中には興味を持つ人がいますが、大半の人は“フルハイビジョンテレビ=単なる高いもの”としての理解しかなく、購買の対象から排除してしまっていたのです。なぜかというと、多数のスタンダードテレビにまぎれて展示されるフルハイビジョンテレビは知識やイメージのない購買者にとっては、単なる少数派の商品にしか映らなかったのです。しかし、流通側もメーカーも高い商品を売りたい。だから、店員にフルハイビジョンの接客の強化を指導するわけですが、購買者に興味がないものをすすめても彼らの反応はなく、そんな話を聞きたくないと、シャットアウト(耳を塞いで)してしまうのです。

 そこでどのように対応したかというと、先ずはフルハイビジョンのものだけで集合させてみました。そうすると、意外に大きなコーナーができるので、それをみた購買者には「こんなに並べてあるのはなぜだろう」という意識が生まれ、さらに主流感も感じやすく「これはいいのかな?」という意識が生まれてくる。そうして、店員が積極的に接客する前に購買者から質問が出始めるという結果がでたのです。

 購買者に「これならいい」と納得させることは、本来は接客術で行われることが多いのです。しかし、購買者が興味を持つ前に無理やり押し付けても、拒絶されてしまう。こういうケースは、結構多いのです。だからこそ、どういう形で興味を持たせていくか、そのためにどうやって店頭で主流感を作っていくかが、非常に重要になってくるのです。

 

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