II.ネットリサーチの特性

column5_c.jpg IT環境整備がパソコンの普及やインターネットユーザーの増加を導き、ネットリサーチ普及の合理性が生まれたわけですが、 その隆盛の背景には従来型の調査手法にない様々な特徴があります。前項で触れましたが、従来型調査とネットリサーチの大きな違いは管理プロセスにおける手間と時間です。この要素が費用や管理プロセス全体に反映され、現代マーケティング管理が求める意思決定スピードと合理性に合致したのです。ネットリサーチの特徴を従来型調査手法と比較してみると;

◆ 低価格:同じ調査スケールで比較した場合、5分の1以下。

  • 対象者数200名程度の訪問調査で数百万円かかっていた調査が数十万円で実施可能に!

◆ スピード:調査を実施してからデータ集計まで、数週間から1カ月程度かかっていたものが、1週間程度に短縮!

◆ リサーチ対象者:

  • 大量の対象者(調査サンプル)に対し一時に調査が可能に ⇒ 100サンプルでも、50,000サンプルでも機械的に送受信可能。
  • 絶対数が限られた、特別な条件を持つ対象者を探し出す事が容易に ⇒ 例えば、高級車の所有者が全人口の0.5%であっても、理論的には10,000人に対しメールを配信すれば、50人の該当者が見つかる。

◆ 簡便:

  • 調査対象者の都合で何時でも参加する事が可能 ⇒ 従来は、調査員が訪問、或いは電話をかけた時に対象者が在宅していないと調査が出来ませんでしたが、ネットリサーチでは、メールで依頼状を送っておけば、対象者が何時でも自由に回答できる。
  • 作業工程の殆どがWeb上で行われるが故に、アンケート用紙やリサーチ結果(データ)の転記ミス等が少ない。
  • 簡易パッケージ型のネットリサーチを使用すれば調査のプロでなくとも、ある程度の品質の調査を自分で管理することが可能。
  • アンケート協力への謝礼がネット上で行使できる“ポイント”などで可能。

 これら特性の相乗効果によって、ネットリサーチは革新的な価値を市場に提供しているのです。但し、これはあくまでも客観的に各要素を組み合わせた場合のことであって、調査目的や対象者条件、或いは調査内容によっては必ずしもネットリサーチが従来型の調査手法に勝っていると言えるものではありません。この件に関しては後半部分で触れたいと思います。これらの特徴が昨今の社会(One-To-One情報交換システムの拡大)・経済(世界的な経済不況に端を発する支出マインドの冷え)環境の変化の中で受け容れられ、ネットリサーチが躍進を続けて来たものと思われます。従来型の“時間とコストがかかる調査”が、IT時代の“スピードと情報交換の仕組み”の中でマーケティング活動を続ける企業ニーズに合致した手法に移り変わって来た事は自然な成行きであったと思われます。

 ネットリサーチの創成期にいち早く顧客となったのが、時間やアイディアで勝負するTVやラジオを中心とするマスコミや広告代理店関係者でした。番組作りの情報収集に欠かせない速さと限られた予算で可能なネットリサーチ、また、広告・宣伝作品の製作に欠かせないクリエイティブ・アイディアの収集や品質管理を図る上で大切な“生活者の声”が簡便に手に入る事が歓迎されたのです。但し、この時点では市場調査の主要クライアントである消費財・サービス関連企業や調査会社の一部がネットリサーチに対しやや懐疑的でした。この辺りの事情についても後ほど触れますが、何れにしろ、時代の潮流にあったネットリサーチは拡大を続けて来たのです。

 

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