5.企業文化とマーケティングリサーチの役割

 耐久消費財の開発には、これまで見てきたように多角的な側面がありますが、経営的に最もインパクトが大きいのは、開発期間の長さと商品ライフサイクルの長さ、そして投資額の大きさです。新規投入商品の不振は、何年間にもわたりメーカーの経営を圧迫することになります。
 こうした失敗を回避するため、メーカーは商品コンセプトの企画段階から市場投入までの間、現行製品の満足度調査、コンセプト受容性テスト、デザイン案評価調査、試作品評価クリニック、ユーザビリティ評価、広告評価、販価設定調査などさまざまなテーマで何度もマーケティングリサーチを繰り返し、市場の声に耳を傾けます。
 ただ、消費者の意見に過敏になり過ぎると現状改良型のインパクトの弱い商品を生みやすくなります。消費者に限らず、役員や関連部署や販売会社などのさまざまな意見を聞き過ぎると特徴のない商品になりがちです。
 市場を意識しつつ、かつ企画や開発の独自性を最大限に活かしていくためには、プロダクトマネージャーに大幅な権限を与えるとともに、新しい試みやチャレンジを尊重する企業文化や人事評価制度が必要です。
 特徴のない似たりよったりの商品を企業が生みだしているなら、その原因は、消費者の意見を聞き過ぎることではなく、その企業の組織や文化に内在している場合が多いのです。

 

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