マーケティングリサーチのスペシャリスト

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データベースマーケティングの原点

 データベースを基軸に総合的な販売を繰り広げる楽天やアマゾンが、グーグルやヤフーといった情報メディアを凌ぐ勢いで近年株価を上昇させています。インターネットが一般メディアとして脚光を浴び始める10年以上前の1980年代、米国では既に“データベースマーケティング”という概念に注目が集まり始めていました。生活者の志向が多様化し、マスマーケティングの有効性が疑問視され始めた頃と時期的に符合します。“製品を作っていれば売れる時代” が終焉を迎え、初期のマーケティング概念、“生活者の求める、売れる製品を売る時代”の先を行く、“いかにして、より効率的にモノを売るか”ということを強く意識し始めた時代とも言えます。当時の日本は、まさに現在の中国さながらに、国内で膨張した資産インフレを背景に好景気を謳歌し、強い円を元手にニューヨークのロックフェラーセンタービルまでも買収し得ていた時代です。この頃既に、迫り来るデフレ不況に備え一度取り込んだ顧客を逃がさないことが安定収益の基本であることに気づいた米国市場の先進的なマーケティング・イノベーター達は、水面下で着々と発達する通信システムとコンピューターのCPU技術革新を背景に、先進的なシステムと画期的なデータベース管理を駆使した新たな経営管理、或いは、マーケティング手法を模索し始めていたのです。

 “マーケティング:Marketing“という言葉に端的な日本語訳がないことにも象徴されるとおり、日本は多くのマーケティング手法を欧米から学んできました。データベースマーケティングについても、80年代の半ばに荒川圭基(あらかわたまき)先生が、米国での予兆を研究し、「データベースマーケティング:ダイヤモンド社 1985年刊」という著書で、新たなマーケティング概念を世に送り出しています。私は当時、この”顧客の購買履歴をベースにしたダイレクトマーケティング “という、それまでの流通プロセスを破壊してしまうような画期的な概念に出会い、頭にハンマーを食らったような衝撃を覚えました。なぜなら、生産者が生活者と直接結びつき、多くのニーズをダイレクトに吸い上げることができるようになったら、我々のような調査機関の存在意義は消滅するのではないかと感じたからです。さらに、生産者、あるいは販売者が国境を越えて保有する購買者リストから購買履歴を管理し、データマイニング(1)することで生活者の購買パターン(購入者属性、購入商品の種類、購入方法、購入時期、購入数など)を理解し、将来の需要までをも予測できるようになってしまったら”市場調査の必要性がなくなってしまう“という危惧を抱いたからです。

 コンビニエンスストア業界最大手のセブンイレブンが、“単品管理”という名の下に膨大なPOSデータ解析から商品の流動性や寿命を判定し、定番商品改廃の判断に取り入れて事業効率を最大化してきたことは有名な話ですが、個人情報との紐付けがされている“顧客の購買履歴情報に基づくデータベースマーケティング”は更に先をいく概念であり、この手段を手に入れた者が世界経済の覇者になるとさえ思えました。それから四半世紀が過ぎましたが、“データベースマーケティング”はどのような進化を遂げたのでしょう。


 

(1)データマイニング:様々なデータ解析技法を駆使して、大量のデータから有用な情報を取り出す技術。マイニング=Miningとは採鉱の意味

 


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