マーケティングリサーチのスペシャリスト

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売れない時代に消費を喚起する

 生活者が生活を続ける限り、モノを買わなくなるということは考えられません。モノが売れない時代と言われていても売れているモノは沢山あります。弁当箱、水筒、省エネ型家電、低燃費乗用車、LED電球、家電調理器具、自転車、iPad、iPhone、ニンテンドーDS、Wiiなど、“便利で節約に役立ちそう”、“なくても困らないけど楽しそう”、そして“地球にやさしいし、社会貢献してそう”というイメージが背景にありそうなモノが売れているようです。また、ユニクロの1,000円ジーンズやヒートテックが爆発的に売れ、低価格が魅力なニトリも売り上げを伸ばしています。モノが売れない時代“だからこそ”、売れている商品もあるのではないでしょうか?

 『売れない時代にモノを売る』ことは決して容易なことではないのですが、先の調査結果にも見られた生活者の買い方の変化を基盤に、製品開発の原点に返り、品質訴求と本物の付加価値の提供を徹底すること、そして、こういう時代背景に温かいマーケティング、『生活感を豊かに、心を豊かにする価値の提供』をテーマに企業努力を進めたらいかがでしょうか。シリーズの第9回で触れている、定性(質的)情報の徹底した読み込みで、生活者自身が言葉では表現出来ないが確実に顕在・潜在し、彼らの意識の中でうごめいている欲求(欲望)、“欲しいと思う製品/あったら幸せを感じる製品”の発見と開発に企業の皆様がトライし続けて行くことで、日本の生活者が豊かに、そして、幸せになれる事を願っています。

 

◆ 消費欲求の刺激

 最後になりましたが、売れない時代にマーケティング活動を進める上で、幾つかのポイントと提言をあげてみました。製品開発や販売促進のヒントにして頂けましたら幸いです。

  1. 生活者には生きるためのニーズを満たす基本の欲求があり、この分野の欲求を満たす製品が売れなくなることはありません。例えば、「お腹が空いたら食事をする、あるいは、夏になったら夏物の洋服を着る」などの生活必需品取得行動は不変のものです。そして、この行動をとる際により付加価値の高いモノを求める欲求(例えば、「どうせ食べるなら美味しいもの、服を買う必要を感じたら気に入った上質なもの」など)も変わらない人間の欲求でしょう。人間の本能的な消費(生活必需)を満たす商品に、より付加価値(同じ値段なのに上質、楽しい、気持ちよい、など)を付けて提供してみてください。
  2. 生活者の気持ちを豊かにしてあげられる、生活者自身が気づいていない商品を“定性情報の活用”で探しあて、消費の喚起(売る/買う)とは違うニュアンスから欲求を刺激することで商品販売に結びつけてください。“今までと違う”をキーワードに、生活革命に結びつく商品開発を心掛けてください。
  3. 生活者の購買の感性を変えてください。不景気を感じさせない明るい、そして消費に参加する事が意味ある行動である事を感じさせるマーケティング施策で購買を正当化させてください。例えば、環境面や健康面にアピールし、『地球のため、あるいは、家族や自分のため』といった、モノの消費からコトの消費に気持ちをもっていかせて、モノへの欲求から精神的満足欲求への転換をキーワードにしてみてください。
  4. 時代背景から生まれた消費トレンド(巣ごもり消費など)をより楽しく、そして豊かに支援する商品の提供を進めることは現在の経済環境化でのマーケティング活動としては大切でしょうが、この活動と平行して、“やっぱり本物は良いよね”という思いが伝わるコミュニケーション活動は日本を上向かせるために忘れてはいけないと思います。小さくまとまってしまうと次の飛躍が大変難しくなりそうです。夢の持てる社会作りを心掛けたいですね。 
  5.  “お金は天下の回り物”です。お金を持っている人が使わない限り皆に回ってきません。贅沢な消費に罪悪感を覚えていると思われる高所得層やモノ持ち世代の高齢者層に対し、彼らが景気高揚の先導者である事をそれとなく刺激して積極的な購買/消費を喚起してください。彼らの消費が低迷する日本経済復活の突破口になる事を願っています。

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