マーケティングリサーチのスペシャリスト

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V.ネットリサーチのチャレンジ

 ネットリサーチはその合理性から画期的な調査手法として現代マーケティングのサポート役として重要な位置づけを担っていることを説明してきましたが、先程触れた、ネットリサーチの課題、つまり、初期段階でなぜ一部の企業や調査会社がネットリサーチに懐疑的であったのかを簡単に説明します。もっとも大きな理由は「回答者が調査対象者の母集団を代表出来ているかどうか?」ということでした。市場調査業界では、特に「パネル調査」では、回答者の母集団に対する代表性ということが常に重要視されてきました。

 例えば、“20歳〜64歳の日本人男性500人に聞きました”といった場合、実際の人口を代表させるには500人の内、20代が95人、 30代が120人、40代が110人、50代が110人、そして60歳から64歳が65人いなければ意見が偏りますが、10年前のインターネット利用者人口は若年層の比率が高く、ネットリサーチ結果は若年層の考え方を反映する傾向がありました。少し極端ですが、ネットリサーチモニターパネルの中身は“オタク集団じゃないの?“と言われもしました。また、大都市と地方都市でも当初はネット人口の構成比率に差があり、政党支持率調査、或いは選挙予測をネットリサーチで行った場合と従来の手法で行った場合、結果に違いが表れたことがありました。ネットリサーチだと民主党が強いが、従来型リサーチだと自民党が強いといったような事です。但し、現在のパソコン普及率とインターネット利用率を掛け合わせると、日本の80%以上の世帯でパソコンでのインターネット利用がなされていることから、ネットリサーチの信頼性はかなり高くなっていると言えるでしょう。

 また、ネットリサーチモニターパネルには調査モニターになりたい人たちだけが参画していることは事実ですし、この方々の意見が全体像を反映しているのかといった疑問や課題は今も存在します。国の機関で行われた従来型調査手法とネットリサーチの結果比較・検証では、質問内容にもよりますが、「意識面に関する回答にはあまり差がなく」、「行動面ではネットリサーチの方がやや行動的ではない」などの結果もあるようです。これらの課題を解決、或いは補うために、全体像に近い対象者集団内で調査ができる様に調査設計を行い、回収予定数を地域、性、年齢などで割付けることを的確に行えばよいのです。但し、代表性の担保を厳しく問う世論調査だけは、方法論的には今後も従来の面接や電話を用いての調査が続けられていくだろうと思われます。

 最後になりましたが、幾つかのチャレンジが残されているとは言え、“適切な価格でスピーディ”、その上“大量サンプルや特殊な対象者を使用した調査が可能”なネットリサーチの優位性は、時間と効率を追求する現代マーケティングにとって欠かせないツールであることに間違いはないでしょう。リサーチ手法それぞれに付随した課題を十分留意した上で、ネットリサーチの優位性を活かしたマーケティング管理を実行していただけることを祈念しております。

 



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